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にも書いたように僕は日曜日にはねじを巻かないのです。そのせいで手紙がひどく長くなってしまいました。もうやめます。そして食堂に行って昼ごはんを食べます。さようなら」

    九

    翌日の月曜日の講義にも緑は現れなかった。いったいどうしちゃったんだろうと僕は思った。最後に電話で話してからもう十日経っていた。家に電話をかけてみようかとも思ったがc自分の方から連絡するからと彼女が言っていたことを思い出してやめた。

    その週の木曜日にc僕は永沢さんと食堂で顔をあわせた。彼は食事をのせた盆を持って僕のとなりに座りcこのあいだいろいろ済まなかったなと謝まった。

    「いいですよ。こちらこそごちそうになっちゃったし」と僕は言った。「まあ奇妙といえば奇妙な就職決定祝いでしたけど」

    「まったくな」と彼は言った。

    そして我々はしばらく黙って食事をつづけた。

    「ハツミとは仲なおりしたよ」と彼は言った。

    「まあそうでしょうね」と僕は言った。

    「お前にもけっこうきついことを言ったような気がするんだけど」

    「どうしたんですかc反省するなんて体の具合がわるいんじゃないですか」

    「そうかもしれないな」と彼は言ってニc三度小さく肯いた。「ところでお前cハツミに俺と別れろって忠告したんだって」

    「あたり前でしょう」

    「そうだなcまあ」

    「あの人良い人ですよ」と僕は味噌汁を飲みながら言った。

    「知ってるよ」と永沢さんはため息をついて言った。「俺にはいささか良すぎる」

    *

    電話かかかっていることを知らせるブザーが鳴ったときc僕は死んだようにぐっすり眠っていた。僕はそのとき本当に眠りの中枢に達していたのだ。だから僕には何がどうなっているのかさっぱりわからなかった。眠っているあいだに頭の中が水びたしになって脳がふやけてしまったような気分だった。時計を見ると六時十五分だったがcそれが午前か午後かわからなかった。何日の何曜日なのかも思い出せなかった。窓の外を見ると中庭のボールには旗は上っていなかった。それでたぶんこれは夕方の六時十五分なのだろうと僕は見当をつけた。国旗掲揚もなかなか役に立つものだ。

    「ねえワタナベ君c今は暇」と緑が訊いた。

    「今日は何曜日だったかな」

    「金曜日」

    「今は夕方だっけ」

    「あたり前でしょう。変な人ね。午後のcん―とc六時十八分」

    やはり夕方だったんだcと僕は思った。そうだcベッドに寝転んで本を読んでいるうちにぐっすり眠りこんでしまったんだ。金曜日――と僕は頭を働かせた。金曜日の夜にはアルバイトはない。「暇だよ。今どこにいるの」

    「上野駅。今から新宿に出るから待ちあわせない」

    我々は場所とだいたいの時刻を打ち合わせc電話を切った。

    dugに着いたときc緑は既にカウンターのいちばん端に座って酒を飲んでいた。彼女は男もののくしゃっとした白いステンカラーコートの下に黄色い薄いセーターを着てcブルージーンズをはいていた。そして手首にはブレスレットを二本つけていた。

    「何飲んでるの」と僕は訊いた。

    「トムコリンズ」と緑は言った。

    僕はウィスキーソーダを注文してからc足もとに大きな革鞄が置いてあるこ
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